木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)とは、木材を腐朽(腐食による劣化)させる腐生菌のうち、特に、木材に含まれる難分解性のリグニン、セルロース、ヘミセルロースを分解する能力を持つもの。
木材の腐朽は、台風等による枝折れや昆虫やげっ歯類のかじり跡により樹皮が傷付いたところに、第一次寄生菌と呼ばれる、でんぷんや糖質、その他の炭水化物を栄養源とするカビの胞子が付いて繁殖し、次に第二次寄生菌として、木材に含まれる難分解性のリグニン、セルロース、ヘミセルロースを分解する能力を持つ担子菌や子のう菌、不完全菌である木材腐朽菌が繁殖し、木材基質を分解することにより行われる。リグニン、セルロース、ヘミセルロースの分解生成物は、最終的に、バクテリアにより無機化される。
木材腐朽菌の中で、木材を白く変色させるものを白色腐朽菌、木材を褐色に変色させるものを褐色腐朽菌、白色腐朽菌や褐色腐朽菌が腐朽できないような、高含水率の木材の表面に軟化現象を起こさせるものを軟腐朽菌という。これらについて、以下において解説する。 一般に存在する木材腐朽菌の90%以上が白色腐朽菌であるといわれている。
木材腐朽菌の繁殖条件は、適度の水分、温度、酸素、栄養分であり、湿度85%以上、木材含水率が20%以上、温度は20 - 30℃、高温多湿の環境を好み、酸素を必要とし、栄養分は木材に含まれるリグニン、セルロース、ヘミセルロースである。
木材含水率の定義
木材に含まれる水分重量(g) ÷ 絶乾木材の重量(g) × 100%
100%を超える場合もある。
絶乾木材
換気のよい乾燥器の中で温度100 - 105℃で乾燥し、一定の重さを示すようになったもの。
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住宅や構造物の材料である木材は、腐朽により外見や強度が劣化し、木材の乾燥重量が腐朽により健全な状態の50%以下になると、木材の強度は見込めない。
木材腐朽菌による被害は、床下、浴室や台所などの湿気の多い場所に多いが、ナミダタケのように、土中に菌糸束を伸ばし、土中の水分を吸い上げ、木材を湿らせながら腐朽させる菌類も存在する。 また、セルロース等の分解生成物には、シロアリの誘引作用があり、木材の腐朽している部分は、シロアリの被害を受ける可能性が高くなるといわれている。 このため、木材の腐朽防止には種々の対策が講じられている。
木材の腐朽防止には、生育条件である水分、温度、酸素、栄養分を調整することや、防腐処理を行う方法がある。 その中で、温度及び酸素については、人間が生活するため調整が困難であり、腐朽防止には、水分管理(湿度及び木材含水率)で乾燥状態を保つことが重要であり、一般的には、木材含水率30%以下の乾燥した木材を使用することや、特に被害を受けやすい床下部分の換気を行うため床下換気口の設置などが有効とされている。 また、木材腐朽菌の栄養分となりやすい、木屑や紙片などを放置しないことも良いとされる。
防腐処理は、防腐薬剤を木材表面に直接塗布する方法もあるが、工場で加圧注入により木材の内部まで防腐薬剤を浸透する方法が優れているとされる。 構造用製材のJAS規格では、以下の防腐薬剤(JAS規格では、防腐効果と防蟻効果を有するものとして、保存処理薬剤と呼ぶ。)を規定している。 防腐効果を期待し、ペンキを塗ることもあるが、褐色腐朽菌にある程度の効果があるが、白色腐朽菌にはあまり効果が無いとされる。
樹種により、腐朽に対する耐久力の差があり、ヒノキ、ベイスギなどは比較的耐久力が強く、アカマツ、ブナなどは耐久力が弱いとされる。